「LPを作ったのに問い合わせがない」「専門会社でないと意味がないのでは?」といった声をよく聞きます。しかし、地方の小さな事業者でも、要点を押さえたLPなら十分に売上に直結します。
事実、ネットショップやデジタル商材を扱っていないビジネスでも、LPを活用することで広告費用対効果(ROAS)を1000%以上にまで高めることが可能です。
例えば、地域のエアコン清掃業者や、不用品回収業者など、物理的な制約のあるビジネスでも、問い合わせ導線を適切に設計したLPひとつで新規顧客を定常的に獲得しています。
LPに対して「ネット広告ありき」「見た目をプロが作らないと反応が取れない」と思い込んでしまうのは大きな損失です。本記事では、LPを使った集客・売上UPに成功しているプロの知見をもとに、「売れるLP戦略」と「必須の16要素」を事例を交えてわかりやすく解説します。
LPについておさらい

ランディングページ(LP)とは、広告や検索結果などの流入から着地する“目的特化型ページ”のことです。
訪れたユーザーを明確な行動(コンバージョン)へ導くための設計が施されており、基本的には単一のゴール(例:問い合わせ、資料請求、購入)に集中しています。
ホームページは、企業概要やサービス案内、採用情報など幅広い情報が掲載されており、回遊性が重視されます。一方、LPは最初から最後まで一つのストーリーで構成され、情報の取捨選択が極めて明確です。
たとえば、「不用品回収業者」の場合、ホームページでは会社概要、料金案内、スタッフ紹介、ブログ、採用情報などが混在します。
しかし、LPでは「今すぐ回収してほしい方はこちら」と一つのテーマに特化し、問い合わせまで一直線の導線が構築されています。
ビジネスによっては、会社の公式サイトにLP的な要素を持たせる「ハイブリッド型」も有効ですが、広告やSEOによる集客では「単一LP戦略」が費用対効果を最大化する手段になります。
特に中小企業・個人事業主にとっては、コスト効率が高いのも大きな魅力です。
LP作成の大前提:検索市場は“言葉の市場”

GoogleやYahoo!などの検索エンジンを通じて流入するユーザーは、具体的な「悩み」や「願望」を持っています。その感情や状態をキーワードに置き換え、検索しているのです。
たとえば「新宿 肩こり マッサージ」と検索した人は、単に「マッサージ店を探している」わけではなく、「今このつらい肩こりを、できれば今日中に解消したい」と感じている可能性が高いのです。さらに、検索結果の中から「深夜営業」「女性スタッフ在籍」「整体+リンパマッサージ」といったニーズに合致するワードが含まれたタイトルを持つページが選ばれる傾向にあります。
このように検索ワードは「感情の翻訳」であり、LPはその言葉に呼応する“答え”を提示することで、自然とクリック・滞在・問い合わせへと導いてくれます。反対に、いくらデザインが美しくても、その言葉に反応していなければ、直帰されてしまうのです。
検索市場は競合も多いですが、逆に言えば「ニッチなキーワード」への最適化ができれば、小さなビジネスでも大手に勝つことができます。「世田谷 家事代行 おすすめ」や「福岡 ヒゲ脱毛 男性 安い」など、地域性や性別、悩みの粒度を反映したLPは検索市場で高反応を取りやすく、まさに中小ビジネスの武器となるのです。
今すぐ客 vs 後から客:ニーズ層を理解する

LPにアクセスしてくるユーザーはすべて即決型ではありません。そのため、ユーザーの心理ステージに応じた情報設計が求められます。
今すぐ客(顕在層)
- 例:「今日中に回収してほしい」「今予約したい」
- 特徴:悩みが明確。即行動に移したい。
- 対応ポイント:電話番号やLINEの即時連絡導線、対応スピードの訴求、「即日対応可能」「当日訪問OK」などのメッセージを目立つ位置に配置。ファーストビューで完結させる意識が重要です。
後から客(準顕在〜潜在層)
- 例:「来週末の空きがあるかを確認したい」「信頼できる業者を比較検討したい」
- 特徴:情報収集フェーズ。複数比較・検討中。
- 対応ポイント:予約カレンダーや口コミ、料金表、過去の施工実績、スタッフ紹介、支払い方法などの情報を充実させる。FAQや「選ばれる理由」「保証制度」も効果的です。
双方を意識することで、即決と比較検討どちらの層にも対応でき、CVR(コンバージョン率)が上昇します。最近では「チャットボット」や「LINEミニアプリ」などを活用して、どちらの顧客にも柔軟に対応する仕組みが求められています。
なぜ複数LPが必要か?キーワードごとの“ズレ”対策
多くの事業者が陥りやすいミスのひとつが、「1枚のLPですべての検索ニーズに応えようとする」ことです。しかし実際には、検索キーワードごとにユーザーのニーズは異なり、それに対応したLPを用意しなければ成果は上がりません。
例1:不用品回収業者の場合
- 「岡山 不用品回収」と検索するユーザー:家全体や複数品目の一括回収を想定している。
- 「岡山 冷蔵庫 処分」と検索するユーザー:冷蔵庫1点のみの処分を希望しており、価格や回収日程、即日対応可否に関心がある。
このように、サービス提供者側では「同じ不用品回収」という一括りにしてしまいがちですが、ユーザーは“自分の状況に合っているかどうか”で判断します。ニーズとのズレがあると、どんなに魅力的なサービスでも一瞬で離脱されます。
例2:脱毛サロンの場合
- 「ヒゲ脱毛 メンズ 福岡」→ 男性専用、顔周辺のみ、アクセスや料金の明示が必要
- 「VIO脱毛 女性 天神」→ プライバシー重視、女性スタッフ、清潔感の訴求が重要
上記のように、性別・部位・地域などによってもユーザーの要求は大きく異なります。
解決策:LPの“専用化”と“量産”
- 各検索キーワードに対応したLPを用意する(例:冷蔵庫処分専用LP、洗濯機処分専用LPなど)
- LPの構成要素(キャッチ、導線、ベネフィット)は共通でOK。重要なのは「キーワードとの一致感」
競合が1〜2枚の汎用LPで広告を出している中、こちらが30〜50枚の専用LPを用意すれば、圧倒的に検索市場を制圧できます。
これはいわば、“数の暴力”による検索市場の独占戦略とも言えるでしょう。1枚あたりの反応率が1%でも、100枚あれば十分な集客が可能です。
次章では、こうしたLP戦略に必要な「売れるLPの要素」を16項目に整理して解説していきます。
売れるLPに不可欠な16の構成要素
売れるLPを設計するうえで最も重要なのは「ユーザーが本当に知りたいこと」に正確かつ明確に応えることです。以下に示す16の要素は、あらゆる業種・業態に共通する“問い合わせにつながる情報構成”のフレームワークです。
1. キャッチコピー(ファーストビュー)
ユーザーがLPに訪れた瞬間に最初に目にする情報。検索意図にマッチした強い言葉で引き付ける必要があります。 例:「【即日対応】岡山エリア限定・冷蔵庫1台からOKの不用品回収」など。
2. 共感・問題提起
ユーザーの悩みに「わかる、それ困りますよね」と共感を示すことで、心のハードルを下げます。 例:「冷蔵庫1台だけ処分したいのに、断られていませんか?」
3. 解決策の提示
「当社ならその問題をこうやって解決できます」と明言するセクション。ユーザーに安心感を与える。 例:「1点からでも即日回収可能。出張費も無料です」
4. 対応品目・ベネフィットの羅列
どんなものを扱っているかを列挙。サービスを受けることで得られる具体的なメリットを記載。 例:「家電・家具・生活雑貨など50品目以上対応」
5. こんな人におすすめ
ターゲットを絞ることで「自分のためのサービスだ」と思わせる効果。 例:「一人暮らしで処分方法がわからない方に」「退去前の片付けに困っている方に」
6. 導入事例・お客様の声
実際の声や実例を掲載し、サービスの信頼性と実績を伝える。 例:「20代女性:引越し前に洗濯機とベッドをスムーズに回収してくれて助かりました」
7. 選ばれる理由・特徴
なぜ他社ではなく自社を選ぶべきかを箇条書き等でわかりやすく提示。 例:「地域密着・最短30分で訪問可能」「累計対応件数5,000件突破」
8. 具体的なステップ(導入の流れ)
問い合わせから完了までの流れを図や箇条書きで明確にする。 例:「①フォームor電話で依頼→②訪問日時の確定→③当日回収・お支払い」
9. よくある質問(FAQ)
ユーザーの不安を先回りして解消するセクション。 例:「Q:回収は当日でも可能ですか?/A:午前中のお問い合わせで即日対応も可能です」
10. 限定性(キャンペーン)
“今問い合わせるべき理由”を与えるため、限定オファーを明示。 例:「先着10名限定!回収費用10%OFF」
11. 注意喚起
悪質な業者やトラブル回避のための啓発情報を掲載することで、相対的に信頼性を高める。 例:「訪問時に追加料金を請求する業者に注意!当社は見積もり金額のみ」
12. スタッフ紹介
顔写真+ひとことプロフィールで親近感と安心感を醸成。 例:「担当:山田(趣味:バイク・休日は子どもと釣り)」
13. 支払い方法・キャンセルポリシー
現金/カード可否やキャンセルのルールなど、事前に知っておきたい情報。 例:「現金・PayPay・クレジットカード決済に対応/キャンセルは前日まで無料」
14. 問い合わせ方法(CTA)
電話・LINE・フォームなど複数の導線を設置。ボタンは大きく、目立たせる。 例:「いますぐ電話」「LINEで無料見積り」
15. 問い合わせ導線の複数設置
ページ内で複数の場所にCTAを配置(3〜6箇所が理想)。離脱を防ぐため、どの段階からでもアクションできる設計に。
16. 想い・コンセプトの共有
「なぜこのサービスをやっているのか」を語るセクション。理念・ビジョンに共感してくれたユーザーがファンになりやすい。 例:「おじいちゃんの遺品整理で困った経験から、誰かの役に立ちたいと思ったのがこの仕事のきっかけです」
この16の要素をバランス良く組み込むことで、LPの信頼性と反応率は飛躍的に高まります。完璧に仕上げる必要はありませんが、「すべての要素が“ある”状態」をまずは目指すことが成功への近道です。
LP作成のステップ:ゼロから形にするまで
「16の要素が必要なことはわかった。でも、どうやって実際にLPを作ればいいの?」という声もよく聞きます。この章では、初心者でも成果が出せるLPを作るためのステップを具体的に解説します。
ステップ1:まずは構成を紙に書き出す
いきなりWebツールに向かうのではなく、まずは紙や付箋を使って「構成」を可視化しましょう。
- タイトル
- 悩み/共感
- 解決策
- 導入事例
- CTA(問い合わせ導線) など、大まかな流れを想定しながら並べていくことで、自然なストーリーが作りやすくなります。
ステップ2:競合LPを分析・分解する
上位表示されているLPは、すでに成果を出している“型”です。競合がどんなキャッチコピーを使い、どんなベネフィットを訴求しているかを観察しましょう。 → 要素ごとに「何があるか・ないか」をリストアップし、自社用にカスタマイズします。
ステップ3:要素をパーツとして集める
テキスト、画像、事例、Q&Aなどのコンテンツ素材をそれぞれパーツとして揃えていきます。ここで重要なのは「完成させる」ことよりも、「ある」ことです。文章が完璧でなくても構いません。
ステップ4:無料ツールを使って実装する
構成と素材が揃ったら、実際にLPを組み立てていきます。初心者におすすめなのは以下のツールです:
- ペライチ(直感的操作・テンプレ豊富)
- Canva(デザイン性の高いLPが簡単に作れる)
- STUDIO(モダンなLP制作に最適)
- WordPress(長期運用・カスタマイズ性に優れる)
ドラッグ&ドロップで操作できるツールを選べば、HTMLやCSSの知識がなくても十分なクオリティのLPが完成します。
素人でもLPは作れる?プロとの違いとは
「やっぱりデザイナーやライターに依頼しないと無理なのでは?」と感じるかもしれません。しかし実際には、“検索意図に合致した中身”さえ作れれば、プロが作ったLPよりも反応率が高くなるケースもあります。
プロが作ったLPの強み:
- デザインが洗練されていて見栄えが良い
- ブランディング要素を意識した一貫性ある表現
- 高度なA/Bテストが前提の設計
一方、素人のLPが強い理由:
- 生活者のリアルな悩みに“生の言葉”で応えている
- 過度に飾らず、むしろ親近感がある
- 制作者=サービス提供者なので、想いが伝わる
ある意味で、素人が一生懸命作ったLPには“熱量”があり、その熱量がユーザーの共感や行動を引き起こすのです。
実際に、「一見ダサいLPの方がCVRが高かった」という事例も多くあります。特に初期段階では、見栄えよりも「検索ワードへの一致」「不安の解消」「ベネフィット提示」に集中したほうが成果につながりやすいのです。
LP量産と“数の暴力”戦略
ひとつLPを作って終わり……ではありません。本当に成果を上げたいなら、「キーワードごとのLP量産」が鍵となります。
なぜ量産が必要か?
- ユーザーの検索ワードは無数にある(地域・性別・状況・時期など)
- 1つのLPでは、それらのニーズすべてに応えることは不可能
- 1%でも反応が取れるLPを100個持てば、それだけで安定的な集客基盤になる
効率的に量産する方法
1つの「ベースLP」を作ったら、それをコピーして以下のように調整するだけでも十分です。
- タイトルを「冷蔵庫」→「洗濯機」に変更
- お客様の声を一部差し替え
- FAQを対象キーワード向けに調整
これだけで“新しいニーズにマッチするLP”が1時間以内に完成します。まさに「Netflixを1話見る時間で1LPが完成」する効率です。
この方法を使えば、30〜50本のLPを作って、それぞれ月1件の問い合わせでも月間30〜50件のリード獲得が実現できます。LPを資産として積み重ねるイメージです。
LPを活用したアライアンス戦略
LPは自社の集客や販売に使うだけではありません。さらに一歩進んだ活用法として、他社との提携による“アライアンス戦略”が非常に効果的です。
できないことでもLPで集客する
たとえば、エアコンクリーニング業者が「エアコン取り外し」「エアコン販売」「エアコン修理」など、自分では対応できないサービスのLPを作成して集客します。問い合わせが来たら、それぞれ専門業者に仕事を振り、紹介料(仲介手数料)を得る仕組みです。
この仕組みには、以下のようなメリットがあります:
- LPが“収益装置”になる(手数料収益)
- 提携先との関係性構築により、自社の本業(例:エアコンクリーニング)にも紹介が回ってくる
- 他社との差別化にもつながる(ワンストップ対応)
実例:家電関連のLP展開
例えば、下記のようなLPを量産することで「家電関連の困りごとすべてに対応できる存在」としてユーザーに認識されます。
- 冷蔵庫 買取 LP(提携:リユース業者)
- 洗濯機 修理 LP(提携:修理専門業者)
- エアコン 取り外し LP(提携:電気工事会社)
「できる・できない」ではなく、「ニーズがあるかどうか」がLP戦略の起点です。そして、ニーズに応じたLPを用意し、対応できるパートナーを探せば、ビジネスの可能性は何倍にも広がります。
失敗から学び、改善を続ける重要性
どんなに綿密に作ったLPでも、初回から成果が出るとは限りません。むしろ最初は“外れる”ことの方が多いのが実情です。
しかし、そこで重要なのは「やり直す」のではなく「改善する」という視点。ユーザーの行動データや問い合わせ内容、離脱ポイントを分析することで、改善すべき要素が見えてきます。
失敗から得られる学び:
- クリック率が低い → タイトルやファーストビューの訴求が弱い
- 離脱率が高い → 想定外の疑問がある/情報不足
- 問い合わせ数が少ない → CTAが目立たない/手段が合っていない(例:電話派なのにフォームしかない)
また、実際に問い合わせしてきたお客様の「質問内容」や「決め手となったポイント」には宝の山が眠っています。それらを元に、Q&Aや選ばれる理由、ベネフィット訴求を強化することで、2回目以降のLPは格段に改善されます。
改善とは、反応が出るまで“ずらし”を繰り返す行為とも言えます。表現・構成・導線・CTAの順番・証拠・限定性など、1つずつチューニングしていけば、必ず成果に結びつきます。
まとめ:売れるLP作成の要点とマインドセット
ここまでの内容を総括すると、LPで成果を出すためには以下の3つが非常に重要です:
- 検索キーワードごとにLPを作り分けること
- 検索市場は“言葉の市場”。1つのLPですべてに応えようとせず、キーワードに応じたLPを用意する。
- 検索市場は“言葉の市場”。1つのLPですべてに応えようとせず、キーワードに応じたLPを用意する。
- 16の要素をすべて“ある”状態にすること
- 完成度よりも網羅性。問い合わせの導線や共感、FAQなど、抜け漏れのない設計が前提になる。
- 完成度よりも網羅性。問い合わせの導線や共感、FAQなど、抜け漏れのない設計が前提になる。
- 完璧を目指さず、まずは出すこと。改善を続けること
- 見栄えや細部にこだわるよりも、検索ニーズへの一致・シンプルさ・行動喚起を優先。成果が出なければ、そこから改善すればいい。
LPは一度作れば終わりではなく、何度も修正・拡張・分岐が可能な“成長型資産”です。数を打ち、改善を積み重ねた先にこそ、安定した集客と収益が見えてきます。
最初の1ページを、完璧でなくて構いません。ぜひ、本記事を参考にLP制作を始めてみてください。その一歩が、あなたのビジネスの未来を大きく変える第一歩になります。